注文住宅を建てる時、リビングを吹き抜けにしたいと思っている方は多いと思います。
吹き抜けには、明るくて広々とした空間を作りだせるというだけでなくさまざまなメリットが存在します。
その分、デメリットや注意事項も少なくないので、検討する際にはその特性をしっかりと把握しておくことがポイントとなります。
どんな家が適しているのか、今、思い描いている家に取り入れることはできるのかなど、イメージと照らし合わせながら検討してみてください。
吹き抜けとは
そもそも吹き抜けとはどういった状態のことを言うのかですが、建物の天井がなく、上の階と繋がっている状態のことを指します。
注文住宅では玄関やリビングに用いられることが多いです。
特に近年では、リビングを吹き抜けにして階段を設置したいというご要望が多くあります。
上下階をひとつにすることで採光が増し、明るくて広々とした空間になるというのはイメージの中にあるのではないでしょうか。
もちろん、それ以外にもさまざまなメリットが存在するのでご紹介していきます。
吹き抜けのメリット
なぜ、吹き抜けを作りたいと思うのかを考えると、だいたいの場合4つのメリットに落ち着きます。
・オシャレで明るく開放感のある家になる
・空気の流れをコントロールしやすい
・二階とのつながりが生まれやすい
・リビング階段と相性が良い
オシャレで明るく開放感のある家になる
吹き抜けを取り入れる最大の理由は「イメージ」が良いことです。吹き抜けのある家を思い浮かべた時、こまかい機能やうんちくは置いておいても、「幸せそうな雰囲気」を思い描く方が多いのではないでしょうか。
その理由は明るくて開放的な空間を作ることができるという点にあります。
1階と2階を繋ぎ、連続したスペースにすることでより高い位置に窓を設けることが可能となります。
視線も高くなり、開放感を得ることができます。明るくて開放的。そして、なによりオシャレな空間になる。これが、多くの方が吹き抜けに憧れる理由の正体です。
最近では、平屋の家でも天井を高くし、吹き抜けのようにする家が増えていることからも、このメリットだけで十分吹き抜けを選ぶ価値があるものだと思い至るのではないでしょうか。
空気の流れをコントロールしやすい
家の構造にもよりますが、最近は特に自然エネルギーを生かした「パッシブデザイン」の家が増えています。
エアコンばかりに頼らない、自然の風を感じられる家を構造によって生み出す考え方です。
天井にシーリングファンを設けて空気を撹拌することで、さらに快適な生活が期待できます。
二階とのつながりが生まれやすい
吹き抜けはそのまま二階との繋がりになります。リビングから吹き抜けにすることで、キッチンで作業をしていても二階とのつながりを感じることができる点も大きな魅力です。
廊下をリビングに繋げたり、部屋の窓をリビング側に設けたりすることで、二階にいても一階とコミュニケーションができるようになるため、さらに家族の距離が縮まります。
リビング階段と相性が良い
吹き抜けはリビング階段と非常に相性が良く、さまざまな理由で取り入れる人が増えています。
広々としたリビングに階段を設置することで、より広々とした家にすることが可能です。
雰囲気もよりオシャレになる上、専用の階段スペースを設ける必要がなくなり、空間を有効に活用できます。
将来、子どもが成長した時に一度はリビングを通ってから自室に行ってほしいという理由から採用する人も増えています。
吹き抜けのデメリット
吹き抜けの設置は、良いことばかりではありません。もちろんデメリットもあります。
・二階のスペースが狭くなる
・手の届かない部分が多く、掃除が大変
・音やにおいが筒抜けになる
・窓の設置方向によってカビが発生しやすい
二階のスペースが狭くなる
あたり前のことですが、一階と二階を繋いでいるため、二階で確保できるスペースが狭くなります。
本来、二階で部屋として使えるスペースを削って開放的な空間を作っているということをきちんと理解しておきましょう。
子ども部屋や寝室など、何部屋あれば足りるのか、収納はどれくらい必要かなど、しっかりと見積もった上で設置する必要があります。
手の届かない部分が多く、掃除が大変
吹き抜けを作るときに考えておかなければならないのが掃除のことです。
二階部分の窓は掃除がとても大変。クモの巣などが張ったとしても、二階部分なのでなかなか手が届かない位置なので掃除が大変です。
さらに、天井にシーリングファンやダウンライトを設置する場合も同様です。
何も考えずに設置してしまうと、メンテナンスに業者を呼ばなければならないということにもなりかねないので注意が必要です。
音やにおいが筒抜けになる
メリットになっていた二階との繋がりは、必要でないものも運んでくることがあります。
掃除機やテレビ、料理の音や家族の話し声などがどこにいても聞こえてくるので、静かにすごしたい時にはデメリットになってしまいます。
子どもが大きくなってプライバシーの保護を優先しがちになった時は、さらに吹き抜けがデメリットに変わってしまう可能性があります。
窓の設置方向によってカビが発生しやすい
吹き抜けを北側に設置すると、カビが発生しやすい傾向にあるようです。
これは、結露が発生しやすいことが理由。そのため、北側でなければ発生しないということでもありません。
定期的にメンテナンスをすることである程度軽減させることは可能ですが、完全に防ぐのは難しいので注意が必要です。
吹き抜けを考える時に注意すべきこと
吹き抜けは部屋の間取りを縦に広く設置する造りです。採光を考えて窓を大きく設置するケースもあるので「強度」と「温度」に配慮することが重要です。
耐震強度を下げてまで設置するのは避けてください
木造住宅であっても、しかりと強度を考えた住宅にする必要があるでしょう。
広々とした家を考えるあまり、強度をないがしろにしてしまった場合、耐震性が下がってしまうのであればおすすめできません。安全を最優先にした住宅を考えるようにしてください。
温度の対策は事前にしっかりしておきましょう
温度の管理にも配慮が必要です。
パッシブデザインを取り入れた高気密な住宅が増えてきているので、必ずしも「吹き抜けは寒い」「電気代がかかる」とも言えません。
ただし、自然の摂理としては暖かい空気は上へ、冷たい空気は下へいくため、冬は温度が下がりやすい傾向にあります。
対策をきちんととれる家にしておくことで冬でも快適に過ごせる住宅にすることが可能なので、気になることは建築業者にも相談してみると良いでしょう。
吹き抜けのある家をチェック
いかがでしたか?吹き抜けに悪いイメージを持っている人は少なく、開放的で明るい家というだけでも実際に大きなメリットがあります。
しかし、デメリットもきちんと把握した上で検討していかなければ、建てた後で「もっとこうしておけばよかった」となる可能性も出てきます。
実際に建てられた吹き抜けのある家の実例もご紹介するので、合わせて確認してみてください。