アフターコロナ~新築住宅の間取りはどう変わる?!家づくり5つのポイント

新型コロナウィルスの影響で、生活スタイル、働き方が大きく変わろうとしています。住まいはどのように社会と繋がりワークスタイルを確立したらいいのでしょうか。同時に住まいは、家族それぞれのライフスタイルをも実現する、ワークライフバランスの最適な「居場所」であることが求められています。

そんなアフターコロナ時代の家づくりは、具体的にどんな考え方や間取りで検討していけばよいのでしょうか?今回はアフターコロナ、ウィズコロナにおける新しい家づくりの考え方、間取りの工夫などについてご紹介します。新築される方、リフォーム検討される方、ぜひ家づくりの参考にしてくださいね。

1.玄関の近くに手洗いスペースを

高松市仏生山町の新築建売住宅の玄関手洗い

家に入ってすぐ手洗いができる場所があれば、手洗いやうがいの習慣が自然に身につき、小さいお子さまも忘れることは少なくなるでしょう。そのうえ汚れや菌がついた手で家のさまざまな場所に触れる機会が減りますので、ドアノブやスイッチなどの消毒を神経質に考えすぎる必要が少なくなります。
新しい生活様式では、マスクの着用、手洗い、ソーシャルディスタンスが感染防止の基本として提唱されています。外出からの帰宅後には、①まず手や顔を洗う、②すぐに着替える、③シャワーを浴びる、という汚れや菌を掃い落すことが大切です。

玄関にそんな大きな手洗いスペースをとれないという場合は、省スペースで設置できるタイプも販売されているので、これから新築される方もリフォームを検討される方も幅60cm程度で構わないのでそのスペースがとれないか検討してみましょう。

それでも玄関付近に手洗いスペースが設置できなければ、玄関からリビングを通らずに洗面所やバスルームに直行できる間取りにするとよいでしょう。アウトドアやガーデニングが好きな方や、お子さまの部活で汚れたり汗をかいたりした後なども、汗や汚れを洗い流すためのスムーズな動線になります。

2.ワークスペースの確保

新型コロナウイルスを経験した現在では、多くの企業がテレワーク(リモートワーク)の導入に踏み切るようになっています。そこで問題となっているのは、住宅の中に落ち着いて仕事ができるプライベート空間が無いということなのです。web会議中に家族の声が入ることもありますし、お子様が騒ぐ声で仕事に集中できないといったテレワークのデメリット面が取り上げられています。今後は多様な働き方を認める企業が増加していくと予想されており、感染症の終息後もテレワークを続ける企業はあると思います。そのため、今後の家づくりでは、ファミリースペースとプライべートスペースをきちんと分けることができるよう、専用のワークスペースを設ける方が増加しています。

住まいの中にワークスペースを検討する際、最も取り入れやすいのがLDKの一角にスペースを確保するという方法です。新型コロナウィルスが取りざたされる前からファミリースペースに書斎的カウンターを設ける間取りは多くありましたので、それを活用してワークスペースにするということです。ファミリースペース内にあるので、小さいお子さまの様子も見ながらの仕事が可能で、仕事だけでなくお子さま自身が宿題をするカウンター、ママが家事をするためのカウンターといった、フレキシブルな使い方ができる反面、仕切りなどがない場合は、仕事に集中できなかったり、web会議中に必要ない音が入ったりするデメリットがあります。

必要に応じて仕切れるパーティションなどを用意しておくとよいでしょう。web会議中に画面の背景に家の中の片付いていないような雑多な様子が映り込む心配も防げるので、パソコンを前に座った背景には壁やパーティションがあるのが理想的です。

テレワークが常態化しそうなご家庭の場合は、LDKに隣接して個室となるワークスペースを設ける間取りを検討しましょう。

高松市仏生山町の新築建売住宅の寝室書斎

ワークスペースをLDKの近くに設置しない場合は、写真のように寝室の一角にカウンターを設けるという方法もあります。省スペースで気軽にワークスペースが確保できるうえ、ファミリースペースから離れているので、完全個室になっていなくても静かで集中できやすいメリットがあります。

寝室に隣接したクローゼットの一部にカウンターを設けるのも場所を取りすぎずにワークスペースを取り入れやすいでしょう。

どこにワークスペースを設ける際にも、仕事に適した照明とコンセントやLANの配線を事前に確保して計画しましょう。照明はスペース全体を照らす照明と、手元を照らすスタンドなどの照明があるのが理想的です。光の色は手元は昼白色や昼光色にすることでより集中して仕事に打ち込めます。またパソコンやプリンタ、FAX、コピー機など電源がたくさん必要になるので、それを踏まえたコンセントの数を多めに設置するといいでしょう。

 

3.ウィルスを持ち込まない動線計画と収納場所

 

ママ目線では、買い物から家に帰ってきた際に、家の中を行ったり来たりせず、荷物の整理ができると便利という考えから『玄関→収納スペース→キッチン』といった動線を実現した間取りが人気です。こういった玄関近くの収納を、室内にウイルスを持ち込まないようにするスペースとして活用することも検討していきましょう。

感染症の拡大や災害時には、食料や日用品をストックしておくことができる広めの収納が重宝します。水のボトルが入った重い箱や、トイレットペーパーのようなかさばる日用品の買い物をした後の搬入作業と収納スペースの確保は、日々の暮らしの中でストレスになります。玄関と水回りの間にその収納スペースがあると出し入れがしやすくなります。一度の買物でたくさんの買いだめをすると買い物に行く回数を減らせるのですが、買った物を収納する十分なスペースがないとそれも難しくなります。日用品や食材をストックできるパントリーなどの収納スペースの確保も間取りづくりで大切なポイントです。

 

玄関から洗面所までの動線の間に、外出時の衣類や身の回り品を収納できるシューズクローク、ファミリークローゼットなどがあるのも便利でしょう。帽子、コート、傘、靴などが収納できる玄関から土間繋がりのシューズクロークがあれば、ベビーカーやキャリーバッグなどの収納にも便利です。外出時に付着したウイルスや花粉などを室内に持ち込まないようにすることができ、ひいては感染症対策に役立ちます。

4.通風や換気に優れた機能

24時間換気と新しい換気システム

近年の家づくりでは、気密性が高く断熱性能が高い家を求める方が多かったのですが、感染症対策を考慮すると、より換気性能を高めたいと考える方が増えるでしょう。政府や自治体からも、「十分な換気が感染予防には重要」と注意喚起があるため、最近では公共施設や鉄道でも窓を開けるのが主流になっています。

現在の建築基準法では、既に24時間換気が義務付けられています。新建材に大量に含まれていたホルムアルデヒドなどの揮発性有害化学物質によるシックハウス症候群が大きな社会問題となりました。そのための対策として2003年7月に建築基準法が改正され、住宅への24時間換気の設置が義務付けられるようになったのです。

ただし、単純に室内の空気を外に出し、外気を室内に取り入れるといった換気では、外気温の影響を受けてしまうようになるため、「夏は暑く、冬は寒い…」という本末転倒な住空間が出来上がってしまいます。したがって、感染症予防なども考慮した今後の新築住宅などでは、熱交換システムを利用した換気システムなどを取り入れる住宅も増えてきました。

自然エネルギーを活用するパッシブデザイン手法

すららアベニュー

家の換気性能を向上させれば、室内に入り込むウイルスや花粉を除去することが期待できます。最近では、空気清浄機などの性能があがっているため、これらの設備でウイルス対策を行うことも考えられますが、全ての部屋に空気清浄機を置こうと思えば、導入コストもランニングコストもかなり掛かってしまうのです。そのため、家全体の換気性能を向上させる第一歩として、自然エネルギーを活用して住まいを設計するパッシブデザインの手法を取り入れるといいでしょう。パッシブデザインによる窓などの開口部の取り方は、住まいの通風をうながし感染症対策にもつながると考えられるのです。通風だけでなく自然採光や温熱環境にも効果を発揮するパッシブデザインの手法は快適な住まいを実現します。その手法を施したうえどうしても足らない部分を機械換気で補うというのが環境にも優しい方法と考えます。

5.住宅設備の見直し

宅配ボックスの設置

外出を控えるためにもインターネットを利用して買い物をする方が増えていますが、受け取りの際、宅配ドライバーの方との接触を控えたいというご意見をよく耳にします。宅配ボックスを玄関先に設置する事で、不在時の再配達の手間なども解消される便利な商品です。後から設置することもできるので、取り入れたい設備の一つです。

気分転換できる場所がある家~第三の空間

ステイホームで外出が出来ずに家にこもってばかりでは、ストレスが溜まってしまいます。リビングの延長として利用できるウッドデッキを設置したり広いバルコニーを設置するなど、日光を浴びながら寛げる空間づくりも大切です。感染症への備えに限らず、災害時などの際に外出を控える機会があることを考慮しておく必要があります。テラスやウッドデッキなどとつながるリビングがあれば、より開放的な空間となりステイホーム時間の時間が長くても気分転換しやすいでしょう。

「第三の空間」サードプレイスと言われる、自宅と職場以外の場所が注目されています。家の外にサードプレイスを求める前に、今後もテレワークや外出を控える暮らしが続く場合もあることを考えると、家の中の一角に気分転換がしやすいスペースがあると理想的です。中庭のテラスやウッドデッキをオープンカフェの様に使えるように工夫するなどの方法で、テレワーク時のオンとオフの切り替えを容易にし、リフレッシュしてまた仕事に打ち込む。。そんな場所があればうまくワークライフバランスを保てる暮らしが叶うことでしょう。

設計・インテリアコーディネーター F・A