注文住宅の流れ・段取り・完成までを一挙ご紹介

注文住宅には、自分たちに合わせて家をつくることができるという大きな魅力があります。注文住宅で家をつくることに決めたら、専門家に任せきりにせず、積極的に家づくりに参加しましょう。一方で、人生で大きな買い物のひとつとも言われている自分のための家づくり。ここでは、初心者向けに、注文住宅で家づくりをすることを決めたらぜひ知っておきたい家づくりの基本をご紹介します。

暮らしのイメージづくり


注文住宅で家づくりをすることに決めたら、最初に取り掛かるのが間取り等に関する打ち合わせです。間取りは、住む人の暮らしに対するイメージや年代と共に変化する暮らしに対応する住まいの在り方などを考えてつくられます。打ち合わせでは、育児や便利さ、デザイン、素材、価格などにおける優先順位について施工会社と話し合いながら、理想の住まいと予算等から見る現実の住まいを近付け、間取りとして提案してもらうことになります。自分たちのイメージをしっかりと伝えるために、家族で事前に話し合って暮らしのイメージをピックアップしておきましょう。
「ペットの個室空間がほしい」「ランドリールームや家事室を設けたい」などの具体的なイメージや「1階と2階のどこにいても存在が分かるような家のつくりにしたい」「年を重ねてからもリフォームなく住みやすい家にしたい」「子ども部屋は個室にせずパーテーションで区切り、独立後は簡単に広い一部屋になるような構造にしたい」「友人家族とホームパーティができるようなイメージでキッチンやリビングダイニングをデザインしてほしい」など暮らし方や部屋の使い方に対する抽象的なイメージや要望を用意しておくことで、よりふさわしい間取りを提案てもらいやすくなります。

注文住宅で家づくりを決めてから完成までの期間は?

家づくり
注文住宅で家づくりを決めて打ち合わせを始めてから完成までの期間は、一般的に約1年と考えている人が多いようです。実際、注文住宅で家をつくるときには、打ち合わせに約3カ月、図面を作成して予算等の資金計画も明確になり正式に発注するまでに約3ヶ月、工事着工から完成までに約5か月~7か月が目安とされています。打ち合わせに時間をあまり取れなかったり、家づくりの前に土地探しから始めたりする場合には、より長い期間が必要となる場合もあります。1年が長いと感じる人もいる中で、逆に完成までの期間が短すぎるのは不安だという意見もあるようです。工事が始まっても家が完成するまでは別の場所での生活が続くことで賃貸等の費用がかかるため、早く新居に移りたいと気が逸るものですが、大切に長く暮らしていく家を建てるのだからこそ、しっかりと打ち合わせて、丁寧に建ててもらいたいものです。少しでも打ち合わせをスムーズに行い、着工に駒を進めるためにも、家族の「家」に対するイメージづくりを具体的に行い、リクエストなどをしっかりとまとめて間取りの完成に向けて積極的に取り組んでいくことが大切です。

完成させたい時期から逆算して行動開始!

 

新居にはいつ頃を目途に住み始めたいと考えていますか。子どもが生まれるまでに新居での生活をスタートさせておきたい、転校はさせたくないので子どもが小学校にあがる前に家を決めたい、新年を新しい家で迎えたいなど時期が明確であれば、逆算して家づくりに向かって行動を開始しましょう。一般的には土地や設計会社・施工会社が決まっていても間取り等の打ち合わせから新居完成までに約1年が必要です。余裕のある計画とするためにも、完成させたい時期が明確になっている場合は早めに必要な行動を起こしましょう。家づくりのスタートでとても大切なことのひとつは、自分たちの家づくりを信頼して任せることができる会社選びです。気になる会社を直接訪問するなどして、真摯に対応してくれるか、完成後もメンテナンス等でお付き合いができそうか、自分たちの家づくりに適したビジョンや施工経験・知識のある会社なのかなど、自分たちで直接リサーチすることから始めましょう。第一印象が似ていると感じる施工例を持つ会社でも社長の経営理念や家づくりに掛ける情熱、職人の技術レベルなどに違いを感じることがあります。会社選びに時間がかかる場合がありますので、家をつくると決めたら、自分たちが暮らしたい家のイメージづくりと同時に、施工会社のリサーチを始めましょう。

資金計画を立てよう

マイホーム資金作り
家づくりを決めたら、早い段階で自分たちが家づくりに使うことのできる予算を知ることも非常に大切です。予算を元に自分たちの家づくりを描いていくという方法が主流となっているためです。資金を借り入れる場合には住宅ローンをいくつか検討して、しっかりと資金面での計画も立てておきましょう。なお、失敗しない資金計画の重要なポイントとして、借り入れることができる金額のすべてを家づくりのために使ってしまうと予算オーバーとなることが多いため注意が必要です。家づくりには、土地代、家の本体の費用と工事の費用、それらに付帯する工事費用、その他諸経費が必要となります。そのため、借り入れる金額の7割程度までを土地や家本体・工事費用などに充て、付帯工事や諸経費を残り3割程度で納めることを目安としておくと予算オーバーを防ぐことができます。ただし、家具や家電等については別途必要な費用となるため自己資金を含め、どの程度、何のために資金が必要となるのかじっくり検討しておくことが資金計画には欠かせません。また、住宅ローンは多くが長い年月で返済していくことになるため、無理のない範囲で計画を立てることはこれからの新しい家での生活を充実させるためにとても大切なことです。

具体的に土地を探してみよう


土地探しにはいくつかのポイントがあります。まず、自分たちが住みたい地域を絞り込みます。子どもがいる場合には学校区で選んだり、子育て支援が充実している地域を検討したり、夫婦の勤務地や実家からの距離などから選んだり、また、坪単価も考慮しながら候補となる地域を広げたり、と絞り込みの基準は様々です。場所選びの他にも、土地の広さや勤務地・学校へのアクセス、周囲の雰囲気やスーパーへの距離など、現地に行ってみたり、土地探しはまず自分たちでリサーチしてみることで自分たちにちょうどよい場所や広さなどのイメージが具体化してきます。実際に現地で土地が見つかっても希望の広さに満たない場合や広すぎる場合、中古家屋が建った状態で売られている場合、希望通りの広さや場所でも予算以上に高い場合もあります。実は、土地探しは自分たちでリサーチする他にも、不動産仲介業者や工務店に依頼したり、ネットでリサーチできたり、中には競売物件から購入したというケースもあり、様々な探し方があります。ひとつに絞らず、いくつかの方法から希望に合う土地を探してみましょう。

施工会社を探して決めよう!


注文住宅をつくることができる施工会社には、大手ハウスメーカーや地元の工務店、設計ビルダー、設計事務所などがあります。それぞれの特徴について比較してご紹介しましょう。

・大手ハウスメーカー

全国展開しているような大手の住宅建築会社を指します。独自の仕様やデザインなど規格商品の中から選ぶタイプの家づくりが中心となっているため、自由度は低い傾向にあります。またブランド化されているので大手ならではの安心感はあります。その分、価格は高めでしょう。

・工務店

地元密着型の小・中規模の住宅建築会社を指します。地元ならではの身近な安心感があり、設計においても自由度が高く、複数の営業店舗を構えない点、従業員数がそこまで多くないことなどからコストパフォーマンスにも優れている傾向があります。ただし、ハウスメーカーに近い金額を提示しているところもあれば、ローコスト住宅をうたっている会社まで様々で、物件金額も幅広いので見極めが大事です。

・設計事務所

一級建築士が在籍する設計事務所に注文住宅の設計を依頼した場合は、設計に関する自由度が高いだけでなく、住む人のリクエストに添った設計の提案力、また意匠的な個性があります。狭小住宅や変わった形の土地などに家を建てる場合やこだわりや個性のある家づくり、デザイン住宅など理想を高く求める方には向いているかも知れません。

 

 

また土地を購入する前には、敷地調査と地盤調査をしておきます。土地にはどのような使い方をするかなどを規制する法律があります。自分が建てたいと思っている家をその場所につくることができるかどうか、また、地盤はしっかりしているのかなど、事前にしっかり調べることは重要です。敷地調査では、建物の用途や大きさを制限する用途地域や北側隣地や前面道路との関係により建物の高さが制限される斜線制限、防火地域の規制などについての様々な確認がなされます。地盤調査は専門の機械を使って地盤の固さなどを調べます。地盤が弱いと建物が傾く可能性がありますが、地盤改良などを施すことが必要となり、土地の代金とは別に費用がかかることもあります。

土地購入・契約


土地の売買に関する契約はしっかりと契約内容を確認することが大切です。土地の売買契約に至るまでの主な流れは、まず売り主に対して購入の申し込みを行います。売り主と買い主との間で価格や条件面で合意がなされれば、買い主は購入する権利を得ます。同時に資金の準備として、多くの方が住宅ローン等の審査を受けます。審査が通過したらいよいよ契約です。まず、宅地建物取引業者が買主に対して土地売買に関する登記簿記載事項や代金授受の方法、引渡し時期などの重要事項説明を行うことが義務付けられています。契約にあたり、買い主は実印や手付金、仲介手数料の一部と収入印紙代、本人確認ができる証明書などの準備物が必要です。契約後、残金などの支払いや所有権移転登記の申請を行い、土地の引渡しが完了となります。

建物プランニング・設計

家のプランニング
家づくりにおける建物のプランニングは間取りの他、外観や配置計画など多岐に渡ります。土地の周辺環境も踏まえた上で、住む人のライフスタイルや希望などに合わせた家となるように、収納に動線、採光などを考慮して配置図面、平面図や立体図で提示し、使われる素材などについても打ち合わせ・計画していきます。納得できるプランニングにするためには、しっかりと自分たちの希望を伝え、業者任せにしないことも大切な要素のひとつです。

住宅ローンについて


住宅ローンにはいくつかの種類があります。銀行やネットバンク、保険会社などの民間による融資の他、公的な融資があります。公的な融資は自治体によるものなど少数となっており、多くは民間による融資となっているのが実情です。住宅ローンの金利には大きく分けて、変動型と固定型があります。返済開始後も市場の金利などに応じた一定の条件下で金利が変わるタイプが変動型金利で、先々金利が下がる見込みがある時に利点があります。低金利の現在は固定型金利で長期間に渡って返済していく方法を選ぶ場合が主流となっています。固定金利は返済開始後も基本的に金利が変わらないタイプですが、完済まで金利が変わらないものと、一定期間後に変動型金利に変わるものなどがあります。返済に関しては様々な条件が設けられているため自分にあった契約を選ぶことが大切です。
住宅ローンの注意点として、土地のみの購入に対しては融資を受けることができないことが多いという点です。ただし、家を建てることを前提に先行して土地購入に係る資金を住宅ローンで支払うことは可能です。土地購入と家の建築との期間が長い場合で、住宅ローンを予定しているなら、資金計画について借入予定機関とよく相談しておきましょう。気になる住宅ローンの審査についてですが、住宅ローンの事前審査は3~5営業日のうちに結果が出ることが多いようです。しかし事前審査に通っても、その後安心してついつい車のローンなどの借り入れをしてしまったり、転職をしてしまったりすると本審査に必ずしも通るとは限りませんので注意しましょう。

建築請負契約


建築請負契約と言われても聞き慣れないという人の方が多いのではないでしょうか。建築請負契約とは、施工会社と施主との間で結ばれるもので、どのような家を建てるのか、建てる際の条件などについて詳細に定めた内容となっています。約款や図面や仕様書などのほか、請負代金に係る契約資料も含まれます。とても重要な契約です。金額欄が空欄であるまま、また詳細が決まってもいないのに確認せずに契約してしまうと、プランの変更等が思い通りに進まなかったり、価格交渉しようとしても不利な状況に立たされてしまったりすることがあります。約款を含めて書類がしっかり整えられていないにも関わらず契約を結ぶように急ぎ促す会社との契約は注意が必要です。

建築確認申請


注文住宅に限らず、家を建てる場合には、様々な法律の規定内で建築しなければなりません。規定内で建築されるかどうかを書面で確認することを目的として、建築する前に提出するのが建築確認申請書類であり、所定の申請書と設計図書資料を添えて申請します。申請が必要な建物については建築基準法に詳しく定められています。建築確認申請とは、建築主(施主)が家の住所地を管轄する都道府県や市区町村の建築主事または指定確認検査機関に対して行うもので、工務店などが代理人として委任されて申請することがほとんどです。審査通過後に確認済証が交付され、ようやく着工となります。修正が求められることもあるため審査のための期間として約1カ月を予定しておくと安心です。

施工(着工→上棟→竣工)

 

注文住宅の家づくりの流れを簡単にご紹介しましょう。

  1. 敷地内に、設計図に添った建物や間取りの配置の目印として縄を貼ります。ご近所へのご挨拶などはこのタイミングで行います。地鎮祭に参列します。依頼すれば施工会社が中心となり準備をしてくれることが多いため安心です。
  2. いよいよ着工です。建物の土台となる部分の基礎工事が行われます。
  3. 上棟です。家の柱や梁など、骨組みを組んでいきます。
  4. 天井部分ができたら屋根の工事に取り掛かります。
  5. 外壁や階段などを取り付ける外装工事に続いて断熱工事や電気工事などの内装工事に移ります。
  6. 工事完了したら美装が行われて竣工となります。竣工検査と工事完了の検査が行われます。

引渡し


工事が終了したら、内覧を経て引渡しとなります。竣工検査として行う内覧では様々な最終確認が行われ、手直しなどがなければ引渡しで鍵などの受渡が行われます。内容としては引渡し書類の記載内容確認、設備機器の保証書や取り扱い説明書の確認と試運転・説明、アフターケアの連絡先や各種工事の保証期間などの確認、追加変更工事の金額、建築確認申請副本の返却などが行われます。内覧で指摘のあった補修工事と再内覧を経て、引渡しとなります。

入居とその後


引渡しが終わったら、いよいよ引っ越し・入居の準備へと移ります。電気・水道・ガス・ネットなど、ライフライン等を整えます。新規に購入した家電や家具等の搬入予定や引っ越しの予定も入居予定日に合わせて組みましょう。引っ越しに関しては複数の会社で見積もりを取ることをおすすめします。入居後も住所等の各種変更手続きや不動産取得税、固定資産税等の支払いなどが待っています。住宅ローンを組んで土地・家を購入した場合には住宅ローン控除を受けることで税金が軽減される制度もありますので可能な限りぜひ活用しましょう。

まとめ

注文住宅での家づくりの主な流れをご紹介しましたが、家づくりは個々に事情が異なります。自分たちの専用プランや段取りをしっかりと把握できるよう、施工会社に相談したり家族で話し合ったりしておきましょう。家づくりは一朝一夕に出来上がるものではありません。ゆとりある計画を立てて、納得できる幸せな住まいをつくりあげたいですね。